2007-01-01から1年間の記事一覧
静寂を切り裂くごとくに鳥は往き残れる闇のなお深きかな (ねこちぐら) 失くすまで気づけなかった大切を死守する僕の沖ノ鳥島 (ふしょー) 私にも存在価値はある筈だ飛べない鳥の翼のように (稚春) 高く高く飛んでいくにはとりあえず鳥の言葉を覚えなきゃ…
旦那さまぶたまんなどは如何です?五月蝿きまでにメイド中華は (野州)
色あせぬ写真の中の兄妹(あにいもと)うさぎの網の前にしゃがんで (新井蜜) 黒いまま写真に写る地点から指先で塗る芝居が観たい (短歌製造機メカ麦3号) 内視鏡写真にはじめてわが見るは大腸といふ赤きトンネル (原田 町)
今までの経験からして三日後に私はこの手を放すのだろう (稚春) 野良犬が目には見えない経線をぶった切るため所持するナイフ (暮夜 宴)
危うさの微塵もなくてただそこにたってるだけの塔にハゲ鷹 (帯一 鐘信) 塔に住む囚われの姫の目に眺む ここ七階のバルコニーより (本田鈴雨)
親友の墓所尋ぬればあたたかき大きな富士に抱かれており (はこべ) 夕空に山かげ浮かぶ地に在れば居を移すたび富士をたしかむ (本田鈴雨) 富士山を切り取り上下を逆にしてスッポリ納める浜名湖の鞘 (新井蜜)
露の玉転がり落ちて洋服にすうとしみ込む朝の草取り (川内青泉)
サイレンの音のせぬ夜の森閑は恐ろしくもあり救急病棟 (ねこちぐら) サイレンの鳴れば麦刈る手を休め弁当食いしこともありたり (西中眞二郎) サイレント映画みたいな夜だから両生類の皮膚感覚で (暮夜 宴) 遊ぼうか軽くなれるわ一筋の線路には石サイレン…
母さんが電話口で吸うから筒の電話線で家へ帰った (zoe) 封筒の中身忘れて覗き見て「ああそうだったか」とまた思いいぬ (西中眞二郎) 筒五つ居つつ鋳つ筒何時五つ異対結いつつつい痛つつつつ (此花壱悟) むなしさに筒をのぞけば一つ目がこっちをみてる陽…
現実を直視出来ない金曜の正午(まひる)の情事だから退屈 (ふしょー) 僕と居て退屈そうにあくびする君のみみたぶ引っ張ってみる (野良ゆうき)
春まだきざしきわらしの面立ちを詮議している弥生の炬燵 (此花壱悟) 堕ちてゆくきざし顕はに大根の咲けるにまかす白き花なり (野州) 快方のきざしに今日のわれの眼に青あぢさゐの花があかるし (春畑 茜)
ありふれた石のひとつも置けば良いあちらへ渡る目印として (ふしょー) 石墨でけんけんぱ描く要領でひたいに「肉」と描く日曜日 (此花壱悟) てのひらに淡いピンクは溶け去りぬ少女の夏の紙石鹸の (本田鈴雨) 手に余る石をかざして振り下ろす先にあなた…
君の声思い出しては咀嚼するテープ起こしよりも孤独に (稚春) テープ切る直前転びつぎつぎと抜かれて悔し四百リレー (川内青泉) カセットのテープのように適当にひっぱりだして遊ばれちゃった (佐原 岬) 切り取ってテープに詰めた思い出の賞味期限を決め…
もうすこしもうすこしだけてのひらのなまえを暗記させてください (坂本樹) 暗闇の中を帰って行くきみの背中に投げる石が当たらぬ (新井蜜)
干からびたこころを放置ごめんなさいディズニーランドのコインロッカー (駒沢直)
その口調やめてくれって真夜中の職務質問みたいでイヤだ (ふしょー) ゆれる海あなたのなまえ以外なら何を質問してもいいこと (坂本樹) 質問の五個に一個は曖昧にきちんと答えなくていいから (磯野カヅオ)
白色度五割を切った僕たちの命をすぐに漂白しなきゃ (ふしょー)
僕たちの秘密を知ってるあのホテル火を付けたくて堪らないんだ (稚春) 朝食のスクランブルエッグを遠慮したことを後悔したホテル (磯野カヅオ) ホテルよりバーでぐだぐだしていたい人前でただ抱きつきたいの (佐原 岬) 青山のホテルの窓に映る灯がとろりと…
連名で打った祝電の代金を払わなかったかもしれない (磯野カヅオ) 誕生日だからと言ってお祝いの言葉をくれる人は少ない (フィジー)
裏道へ裏道へと行きそうでもう少し寝たほうがいいかと家へ帰る (zoe)
社会からはみだしたまま固まって踏まれ続ける梅雨の晴れ間も (新井蜜) この社会の不条理に耐えられないと書き込みしひと 無事おわするや (本田鈴雨)
どようびは花柄模様の傘を差すモネの絵葉書出すために差す (行方祐美) 新宿は陽炎にみな融かされて牛の模様の君を見送る (此花壱悟)
神話にも残らないほど無視された神様だって居たはずだから (ふしょー)
ベッドから足をぶらぶらさせている鼻先の蜘蛛の真似をしている (此花壱悟) スケールの大きな夢にピクついて少しベッドが軋むのも好き (駒沢直) 降りそそぎベッドに積もる黄金のコインの雨になって会いたい (新井蜜)
瞳孔の周りの茶色が澄んでいるそれだけでもう抱き締められたい (稚春) くちびるの渇きでないと分かりつつ零時を過ぎて緑茶を買いに (磯野カヅオ)
真っ白なページが不意に現れる世界の終わりはこんなところに (稚春) 終末の一夜を狂う茜さすピンクフロイド桃色遊戯 (新井蜜)
毎朝の女性専用車両から回収してる2トンのためいき 浩一とおやつに食べたマシュマロで身籠ったこと内緒にしてて 教壇の下に隠したカプセルに籠って歌詠む浩一が好き 浩一は練馬に空がないと言うドームに星が描いてあるのに ゴミ箱に捨てたわたしの綿棒を証…
涙ぐみ黒いビロード頬にあて屋根から落ちたからすのひなの
晴れた日の午後の二時前強すぎる日差しにわたしはとまどっている
今から追っかけます。