083:筒

母さんが電話口で吸うから筒の電話線で家へ帰った (zoe)
封筒の中身忘れて覗き見て「ああそうだったか」とまた思いいぬ (西中眞二郎) 
筒五つ居つつ鋳つ筒何時五つ異対結いつつつい痛つつつつ (此花壱悟)
むなしさに筒をのぞけば一つ目がこっちをみてる陽がのぼるまで (帯一 鐘信)
白鷺の描く螺旋を目の端に水際で読む筒井康隆 (暮夜 宴)
紙筒の蓋をひねればなつかしく マーブルチョコや卒業証書の (本田鈴雨)
憧れの練習ヒクヒクおなかもう腐ってしまい筒状である (短歌製造機メカ麦3号)