2007-07-07 080:富士 親友の墓所尋ぬればあたたかき大きな富士に抱かれており (はこべ) 夕空に山かげ浮かぶ地に在れば居を移すたび富士をたしかむ (本田鈴雨) 富士山を切り取り上下を逆にしてスッポリ納める浜名湖の鞘 (新井蜜)
2007-07-06 082:サイレン サイレンの音のせぬ夜の森閑は恐ろしくもあり救急病棟 (ねこちぐら) サイレンの鳴れば麦刈る手を休め弁当食いしこともありたり (西中眞二郎) サイレント映画みたいな夜だから両生類の皮膚感覚で (暮夜 宴) 遊ぼうか軽くなれるわ一筋の線路には石サイレン響く (短歌製造機メカ麦3号)
2007-07-05 083:筒 母さんが電話口で吸うから筒の電話線で家へ帰った (zoe) 封筒の中身忘れて覗き見て「ああそうだったか」とまた思いいぬ (西中眞二郎) 筒五つ居つつ鋳つ筒何時五つ異対結いつつつい痛つつつつ (此花壱悟) むなしさに筒をのぞけば一つ目がこっちをみてる陽がのぼるまで (帯一 鐘信) 白鷺の描く螺旋を目の端に水際で読む筒井康隆 (暮夜 宴) 紙筒の蓋をひねればなつかしく マーブルチョコや卒業証書の (本田鈴雨) 憧れの練習ヒクヒクおなかもう腐ってしまい筒状である (短歌製造機メカ麦3号)